Life is very short. TSUKION BLOG

無知と偏見を経験が凌駕する!

宮古島観光 レンタカーでの「あのこと」を話します。

何が起こるかわからないのが旅の醍醐味

その旅を成功に導くのはほかならぬハプニングだ。

失敗やハプニングこそがその旅を彩りあるものに変えてゆく。

美味しい料理や美しい風景ばかりが思い出ではない。

満を持して「あのこと」をお話ししよう。

 

降り立った宮古空港は南国特有の

肌にまとわりつくような熱気に包まれ

否が応にもこれから始まる旅への期待が膨れ上がる。

レンタカーを駆って、とにかく島の端から端まで走る。

途中、カマを持ったおばぁが這いつくばってさとうきび畑から

出て来た時は喉が痛いほど叫んだっけ。

でも、そんな驚きは小さなことだ。

この後「あのこと」が起こるのだから。

 

 

 

 

「あのこと」

私は後にも先にもあんな恐怖を味わったことがない。

あのコバルトブルーの宮古島で、

夢のようなあの場所で、

あんなことが・・・。

楽しいドライブも「あのこと」へのカウントダウンだったと思うと

途中で食べたてんこ盛りのソーキそばも

「え?これかき氷っしょ。」と思ったぜんざいも

みたらし団子かよっていうくらい甘い焼き鳥も

よくぞ喉を通ったものだ。

あんなカラフルな魚を刺し身にする不思議。

 

さておき

「あのこと」は着々と私に近づいていた。

いま思い返せば、その予兆はあったのだ。

私は無意識のうちに気づかないふりをしていたのだろうか。

みんなの笑顔を守りたくて。

 

時折聞こえる、あのあるかなしかの小さな音。

かわいた音。

私は完全に舞い上がっていた。

境目のない海と空の美しさに目を奪われ

現実から目を背けていたのだ。

 

 

運転席の右前方にあるエアコンの吹き出し口。

なんだろう、あの黒い物は。

ホコリかな。

手を伸ばした時

私は気づいてしまった。

 

 

「G」 だ。

 

まぎれもなく、G。

 

めまいを起こして車ごとコバルトブルーの海へ突っ込む前に車を止めねば。

このまま海に突っ込んだところで

ジェイソン・ボーンが助けに来てくれるはずもない。

車を停めて、後続の車に轢かれることも厭わず

運転席から転がり出た私は

同行の母に向かってこう言った。

 

「ねぇ、お母さん。G かたづけて。」

 

母は躊躇なくエアコンの吹き出し口を探り始めた。

素手だ。

なぜ母親はこんなことができるの。

尊敬しかない。

少し嫌だったのでティッシュペーパーを使ってもらう。

ほどなくGは引き抜かれた。

 

さすが南国。大きすぎる。

こんなことで南国を感じたくない。

いつからエアコンの風に当たり続けていたのか、

もう、かっさかさ。

「G」は引き抜かれると同時に

まるでサノスが指を鳴らして人口の半数が砂と消えたかのように

あるいは

侵略者のトライポッドから放たれた光線を浴びた人間のように

ハラハラと細かなチリとなった。

 

私はこの旅の間じゅうあの

かっさかさの「G」越しの風を浴びていた。

夏の宮古だ。エアコンの風は常に最大設定。

私は。私は。

「G」越しの風を受けて 池間大橋を渡った。

「G」越しの風を受けて 来間大橋を渡った。

「G」越しの風を受けて 宮古島を満喫した。

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池間大橋か来間大橋 👆
 

 

帰りの飛行機で座席上部の送風口を

くまなくしつこくチェックしてCAに「お座りください。」と

言われた私は、もはや狂気だったのかもしれない。

 

まとめ

旅というのはこうだ。

こういうことがあればこそ、

その旅は心に刻まれるのだ。

 

私はこの旅を決して忘れない。

顔面蒼白の幼き息子の顔を忘れない。

一生語り継いでゆく。

 

 

 

 

翌年も私は宮古島に行った。

思い出を上書きするためにね。