Life is very short. TSUKION BLOG

無知と偏見を経験が凌駕する!

節分の鬼より怖いうちのばーちゃん

今週のお題「鬼」

四半世紀ほど前に死んだうちのばーちゃんは鬼だった。

明治生まれの気の強い女で、

私はこれまでばーちゃんよりキツい女を見たことがない。

そんなばーちゃんを姑に持った私の母親は

顔面神経痛、円形脱毛症、果てはメニエール病まで発症した。

激しいストレスがうかがい知れる。

しかし根がおっとりした性格の母親は、姑に仕えるのは当たり前が色濃く残った時代背景もあり、忍耐強く頑張った。

とにかく家族全員、ばーちゃんを怒らせるなという暗黙のルールの下で生活していた。

 

「鬼」エピソードを二つ三つ書きます

 

色鉛筆事件

そんなばーちゃんであったから子育てにも口を出した。

いや、口を出すどころか嫁に手を出させなかったというほうが正しい。

嫁、要するに私の母親もばーちゃん対策に手一杯で、教育なんぞにかまけていられないようだった。

ばーちゃんは無類のケチだった。だから金は持っていた。

私たちは二人姉妹だったのだけれど、小学校で色鉛筆を持ってくるように言われた時、ばーちゃんに24色の色鉛筆を二人で分けて持って行けと言われた。

そんなことって、しますかね?

よく考えればわかるだろう。足りない色が出てくるよね?

2人とも黒が欲しい時はどーすんのさ。

ばーちゃんはキッパリと言った。

「黒は普通の鉛筆で代用できます。」

 姉は人物の髪を普通の鉛筆で塗ったそうだ。泣ける。

せめて12色を2セット買ってくれ。

 

髪散切り事件

 ある時、姉のミスで私の頭に、姉が噛んでいたチューインガムがくっついた。

もはやこれだけで十分に事件なのだが

そのあとがすごかった。

ほぼ私の脳天についたガムはなかなか取れない。

するとばーちゃんの手にキラリと光るものが。

裁ちばさみである。

着物を作るときの裁ちばさみ。

ま、まさか、それをどう使うというの、おばあちゃん。

 

ばーちゃんは私の脳天付近の髪を引っ張り上げ

アワアワしている私に一瞥をくれてから

なんの躊躇もなくザクザクと切った。

 

脳天だけがスポーツ刈りである。

河童か!

明日どんな顔で学校に行けばいいの。

 

 

習い事が独特事件

長い事ずっと秘密にしてきた私の習い事。

週に一回お習字。これはわかる。

週に一回お茶。これは聞いたことない。

週に三回お三味線。意味が解らない。

 

なに、お三味線て。

しかも週に三回も?

何にしたかった?私たち姉妹を。こまどり姉妹か!誰だか私も知らん。

 

私たち姉妹は明治時代とほぼほぼ同じ感覚で育てられた特殊な例だと思っている。

サボれなかった。

サボれば家で般若が待っているのだ。考えただけでゾッとする。

 

 ばーちゃんは古くから近所にいる先生と呼ばれる人たちが好きだったと思われる。

見栄と世間体に命を懸けていたのかもしれないな。

孫である私たちになにかを託していたのだろうか。

 

 

子供だった私にとってばーちゃんは鬼のように怖かった。

 

ばーちゃんは本当にエネルギッシュで

いつもピシッと着物を着ていて

独自の信念を持っていて絶対に曲げなかった。

 絶対誰にも負けなかった。

 

 

ばーちゃんの人生の途中からしか知らないけれど

「鬼」でなければ生きていけない時代を生き抜いてきたのかもしれないと

今になれば思える。

 

 

 

だから

今は

鬼ばーちゃんを

前より少し好きになった。

 

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